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エアコンなんてなくても楽しかった!スバル360が呼び起こしたチェリーバンの思い出

令和8年8月21日。

ここしばらくは、少し涼しい日が続いていた。

「このまま秋になるのかな?」

なんて少し期待していたのだが、そう簡単にはいかない。

今日は再び気温が上がり、ジメジメとした蒸し暑い一日となった。

仕事で車を運転していると、エアコンの効いた車内はまさに天国。

昔のように窓を開けて汗だくになりながら走る必要もない。

ボタンひとつで快適な温度になり、最近の車は本当にありがたい。

そんな快適な車内で信号待ちをしていると、前方に何とも懐かしい車が走っていた。

前を走っていたのはスバル360

その車は……

スバル360!

丸くて小さなボディ。

今の車とはまったく違う、何とも愛嬌のあるスタイルだ。

思わず目で追っていると、そのスバル360が交差点で停止した。

すると運転席の人が、

三角窓をパカッ!

さらに、ボンネットの空気取入口をバコン!

そして信号が青になると走り出していった。

もちろん、現代のエアコンのようにキンキンに冷えるわけではない。

それでも走行風を車内に取り込んで走る姿が、なんとも気持ちよさそうだ。

「暑いけど、これはこれで楽しいんだよな~」

そんな気持ちが伝わってくるようだった。

スバル360は1958年に登場し、日本のモータリゼーションを代表する軽自動車の一台として長く親しまれ

丸みを帯びた独特のデザインから「てんとう虫」の愛称でも知られている。

小さなボディながら、大人4人が乗れる実用性も備えており、当時の日本の道路事情や生活に合わせて作られた名車だった。

今の車と比べれば、安全装備も快適装備もまったく違う。

しかし、だからこそ運転している人が、車と直接向き合っているような感じがある。

三角窓を開ける。

空気取入口を開ける。

風の向きやエンジンの音を感じながら走る。

そして、そのスバル360を見ていた還暦おじさんの脳内に……

突然、ある車の記憶がよみがえった。

18歳、新入社員の私に与えられた日産チェリーバン

時はさかのぼり、私が18歳の新入社員だった頃。

免許を取って間もない私に、会社から初めて配送用の車が与えられた。

その車は!

日産チェリーバン。

今の若い人からすれば、

「エアコンがない車?」

「パワーウインドウじゃない?」

「マニュアル車?」

と驚かれるかもしれない。

もちろんエアコンなんて付いていない。

パワーウインドウも当然なし。

シフトはマニュアル。

しかも、当時の私にはなかなか扱いにくかった。

それでも仕事で毎日のように乗っていた。

初代日産チェリーは1970年に登場した日産初の量産FF車で、コンパクトなボディながら室内空間を確保した先進的な車だった。E10型チェリーは約3.6mというコンパクトな全長で、前後ともドラムブレーキを採用していた。

真夏は窓全開!ビニールシートは灼熱地獄

エアコンがない真夏の車内。

やることはひとつ。

窓を全開!

それしかない。

走っている間は、まだ風が入ってくる。

しかし、問題は停車中だった。

真夏の炎天下にしばらく停めておくと、ビニール製のシートが熱くなりすぎる。

乗ろうとして座った瞬間、

「熱っ!!」

下手をすると火傷するんじゃないかと思うほどだった💦

今ならリモコンでエンジンをかけて、乗る前からエアコンを効かせる車もある。

シートヒーターどころかシートベンチレーションまである時代だ。

しかし当時は、

窓を開ける!

風を浴びる!

汗をかく!

それが夏のドライブだった。

数か月走るとブレーキが心配になる?

私の記憶では、しばらく乗っているとブレーキの効きが悪くなったように感じ、調整が必要になったこともあった。

当時の初代チェリーには前後ドラムブレーキを採用したモデルが存在しており、現代車とは制動装置の考え方も大きく違っていた。

今なら衝突被害軽減ブレーキや各種運転支援システムが当たり前。

例えば現在の日産車には、アクセルとブレーキの踏み間違いによる衝突防止を支援する技術なども用意されている。

18歳の新人だった私には、そんな安全装備はもちろんない。

あるのは、

自分の運転技術と注意力。

そして少し怪しくなってきたブレーキだった。

今思えば、なかなかスリリングな配送業務である。

錆びたマフラーに穴が開いたらF1マシンになった?

そんなチェリーバンだが、私はそのスタイリングが好きだった。

小さくて、ちょっと個性的で、今見てもなかなか格好いいと思う。

しかし、若き日の私は車を大切に扱う優等生ドライバーではなかった。

ある日、悪路を走っていたら……

錆びていたマフラーに穴が開いた。

すると突然、

ブォォォォォォーーーッ!!

静かな配送車だったチェリーバンが、一気にレーシングカーのような爆音になった。

もちろん実際にF1マシンになったわけではない。

速くなったわけでもない。

ただ、うるさくなっただけだ。

それでも若い頃は、

「なんかすごい音になったな!」

などと思いながら走っていたような気がする。

そして別の日には……

垣根にバンパーを引っ掛けてしまった!

若き日の還暦おじさん。

さらにやらかす。

ある日、車を動かしていると……

ガリッ!!

嫌な音がした。

確認すると、なんと垣根にバンパーを引っ掛けてしまった。

そして、

バンパーが取れた。

当然ながら上司には怒られた。

そりゃ怒られる。

今思えば、本当にどうしようもない新人だった。

車は傷つける。

マフラーは爆音になる。

そして最後にはバンパーまで取れる。

もし今の自分が上司だったら、

「お前、ちょっと車から降りろ!」

と言っていたかもしれない(笑)

そんな出来事もあり、その後チェリーバンとは別れることになった。

しかし不思議なもので、何十年経ってもあの車のことは忘れられない。

不便だったからこそ、思い出になる

現代の車は本当に素晴らしい。

暑い夏でもエアコンはしっかり効く。

パワーウインドウは当たり前。

オートマチック車が主流で、運転支援システムも充実している。

日産も現在はe-POWERなど、モーター駆動による静かでスムーズな走りを実現する技術を展開している。

便利になった。

安全になった。

快適になった。

それは間違いなく素晴らしいことだ。

でも……

なぜだろう?

スバル360をみたら胸が少しワクワクする。

三角窓を開けて風を入れる。

ボンネットの空気取入口を開ける。

マニュアルシフトを操作する。

エンジン音を聞く。

少しくらい暑くても、少しくらいうるさくても、それを含めて車を楽しむ。

旧車には、そんな魅力があるような気がする。

スバル360が思い出させてくれた18歳の自分

今日、交差点で偶然見かけたスバル360。

ただ古い車を見かけただけだった。

しかし、その一瞬で還暦おじさんの脳内は40年以上もタイムスリップした。

エアコンのない真夏。

窓全開で走った日。

熱くなったビニールシート。

扱いにくかったマニュアルシフト。

爆音になったチェリーバン。

そして、バンパーを取って上司に怒られた18歳の自分。

あの頃は早く新しい車に乗りたいと思っていた。

「エアコン付きの車って最高だろうな!」

なんて思っていたかもしれない。

ところが還暦になった今は、最新の車に乗りながら、

「昔の車って、やっぱりいいよな~」

なんて思っている。

人間とは勝手なものである(笑)

現在売られているどんな高性能な新車よりも、心を動かされる車がある。

それが、昔自分が乗っていた車だったり、街で偶然見かけた旧車だったりするのだろう。

快適なエアコンの効いた車内から見たスバル360。

暑い夏の日だったが、あの小さな「てんとう虫」は、還暦おじさんに18歳の夏を思い出させてくれた。

そして改めて思う。

便利な車は最高だ。

でも……

不便だった車も、やっぱり最高だった。

今日のスバル360との偶然の出会いに感謝しながら、そんな暑い夏の日を楽しんだ還暦おじさんでした。

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