「長嶋さん、ありがとう。僕の夏休みのヒーローでした。」
読売ジャイアンツがV9を成し遂げていたあの頃——
僕はまだ小学生だった。
運動音痴で、正直、野球はあまり好きじゃなかった。
でも、地域のスポーツ少年団に入っていた僕は、暑いグラウンドで白球を追いかけていた。いや、ベンチでそれを見ていた、が正確かもしれない。ほとんど補欠。バットにボールは当たらないし、守備もおぼつかない。
そんな僕を、母は毎朝応援してくれていた。
アルミの弁当箱に、僕の好物をぎっしり詰めてくれて。
その弁当箱には、背番号3の男が豪快にバットを振り切る絵が描かれていた。

こんな感じだったかな~😅
そう、長嶋茂雄。
僕が野球を嫌いでも、長嶋さんは好きだった。
とにかく明るくて、派手で、かっこよくて、みんなが憧れていた。
家に帰るとテレビにはいつも彼がいて、まるでヒーロー番組を観ているようだった。
そして、今日。
長嶋茂雄さんの訃報を耳にして、なぜか胸の奥がきゅっとなった。
浮かんできたのは、あの真っ青な空と、汗まみれで砂を蹴っていた夏休みの景色。
ベンチで弁当を開けたあの瞬間の、あたたかな記憶。
あの頃、僕にとって野球は苦手な「現実」だったけれど、
長嶋さんはいつも「夢」の側にいてくれた。
日本で一番愛された野球選手。
いや、日本で一番、子どもたちのヒーローだった人。
長嶋さん、ありがとうございました。
あの夏を、あの背番号3を、僕は一生忘れません。